2014年8月1日金曜日

 輪島塗の上塗りに使う上質な漆を、夏の強い日差しを利用して精製する作業が、7月下旬から輪島市内の漆器工房で始まりました。
 ウルシから採取されたばかりの漆の液にはゴミなどが多く含まれています。そのゴミを取り除いたのが生漆(きうるし)です。しかし生漆は水分が多いため、このままでは上塗りに使えません。そこで水分を減らすための精製作業が必要となります。
 この作業に欠かせないのが夏の強い日差しです。クロメ鉢と呼ばれる鉢に生漆を入れ、T字形の櫂(かい)で数時間撹拌(かくはん)して漆の粒子を細かく均一にします(ナヤシ工程)。
 さらに撹拌して、太陽熱を利用し水分を2%前後まで減らし刷毛塗りしやすいようにするのです。酸化によって徐々に黒くなるところから、クロメ(黒目)と呼ばれます。

 作業場に足を踏み入れると、漆独特の甘酸っぱい香りが迎えてくれます。そこでは、夏の強烈な日差しがじりじりと照りつけ、額に汗がにじみます。作業をされている方は、汗だくになりながら作業をしています。終日作業を続けると、蒸発する水分によって手や腕がひどくかぶれることがあるほど厳しい作業です。
 堅牢優美(けんろうゆうび)と呼ばれる輪島塗ですが、これを支えているのは多くの職人の方々であり、この天日クロメ作業もその一端を担う大切な作業です。しかし最近では機械化が進み、このような夏の日差しを利用する作業はほとんど見られなくなりました。
 静かに作業を見守りながら、先人たちから受け継がれている職人さんの地道な努力に頭が下がる思いがしました。これからもこの作業を継承して行って欲しいと強く願いました。(T.S.)

*漆精製作業で使われるクロメ鉢と櫂は、当館2階で展示中です。

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